相続登記とは?

「相続登記」とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の中に不動産が含まれていた場合に、相続人に名義の変更をする手続きのことです。

相続登記には特に期限はなく、しなかったからといって相続税申告のようにペナルティを受けるわけではありません。

しかし、相続登記をせずに放置しておくと、売却の際にそのままでは売れない、相続人の一人が認知症になり遺産分割協議ができないなど、さまざまな弊害が生じることがあります。

相続登記はどのように行う?

相続登記は、必要な申請書と添付書類を揃えて、その物件を管轄する法務局に登記申請を行う必要があります。

登記申請に必要なのは、次の添付書類です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・原戸籍)
  • 相続人全員の現在の戸籍
  • その不動産を取得する相続人の住民票
  • 被相続人の最後の住所を示すための住民票の除票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図(相続関係を図で示したもの)

これらの中でも、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えるのが一番大変な作業です。本籍地をまったく動かしていない人であっても、民法改正による戸籍の改製や、平成のコンピュータ改製、婚姻などにより戸籍は作り替えられるため、一人の被相続人につき大体5種類前後出てくることが普通です(人によっては10種類出る場合もあります)。

ただ、遺言書で不動産の取得者がはっきり指定されているのであれば遺言者と不動産をもらう人の関係性だけがわかる戸籍で足ります。

もし本籍が移っている人の場合、必ず本籍地の役場でないと取得できないため遠方の場合は郵送で請求することになりますが、市役所のウェブサイトから申請様式をダウンロードしたり、郵便局で定額小為替を準備したりとなかなか骨が折れる作業になります。

そこで、仕事が忙しい人やこういった事務作業が苦手な人は依頼先の行政書士や司法書士に任せてしまうこともできます。

事案により自分でできるものと困難なものがある

申請書のフォーマット自体は法務局で例をもらうことはできるので、中には相続人自身ができる事案もあります。

ただ、実際にはフォーマット通りの単純な事案ばかりではなく、「被相続人がその不動産全部ではなく持分のみ所有していた」「本地に付随する道路部分があった」「本来、消えているべき抵当権が消えていなかった」など、イレギュラーな事案もあります。

不動産の物件数が少ない(本地と建物のみで共有ではない)、相続人の数が少なく遺産分割協議が問題なくできているなどの事案を除いては、できれば最初から専門家に相談する方が確実です。