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公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

公証役場で、公証人および証人2名の立ち会いのもとに作成する遺言書。原本が公証役場に保存されるため、被相続人の遺志を証明する能力が極めて高い。
遺言書を作成する場合、自筆証書、公正証書のいずれかを選択するのが通常ですが、公証役場で作成する「公正証書遺言」のほうがより安心確実だといえます。

公正証書遺言作成の手続きと流れ

公証人との事前打ち合わせ

遺言の内容が決まったら、司法書士が公証人との間で事前打ち合わせをします。

具体的には、司法書士が作成した遺言書原案を公証人に送信し、公正証書遺言の案を作成してもらいます。ご依頼者様には、公証人が作成した公正証書案をご覧いただき、問題が無ければ公証役場への訪問日時を決めます。

公証役場での遺言書作成

事前に予約した日時に公証役場へ出向きます。当日の進行は公証人に任せておけばすべて大丈夫です。遺言内容は事前に打ち合わせしたとおりですから、難しいことを聞かれるようなこともありません。

また、当事務所へご依頼くださった場合は、司法書士も証人として同席しますから、公証人とのやりとりに不安を感じることも一切ありません。

手続きが済んだら公証人の手数料を支払い、できあがった遺言書は当日に受け取れます。遺言書は正本と謄本の2部が渡されるので、遺言者ご本人が2通とも保管しておくか、謄本を受遺者に預けておくこともできます。

公正証書遺言作成の必要書類

公正証書遺言を作成するには、最低限次のような書類が必要となります。

  • 遺言者本人の印鑑登録証明書
  • 遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
  • 財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
  • 財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と、固定資産評価証明書、または固定資産税の税納税通知書(評価額が分かる部分)

当事務所へお越しくだされば、必要書類についてわかりやすくご説明しますので、とくに事前準備は不要です。

公証人(こうしょうにん)

公証人とは、原則30年以上の実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員で全国各地の公証役場で公正証書の作成、私署証書や会社等の定款に対する認証の付与、私署証書に対する確定日付の付与の職務にあたる者のことをいう。

検認(けんにん)

公正証書遺言以外の遺言書につき、被相続人死亡後に家庭裁判所に持ち込んで、その存在を証明してもらう手続き。遺言書の偽造や変造を防止するために行う。

遺産分割(いさんぶんかつ)

「遺産分割」というのは、相続財産が最終的にどの相続人に帰属するのかを決定するための手続きです。

遺産はとりあえず相続人の共有になる

「相続」は人の死亡によってその瞬間に発生するものであり、人為的に行うものではありません。つまり、相続人がそれを希望するか否かを問わず、いったんは法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員の共有状態になっています。

つまり、自分がその財産を保有しているという自覚がまったくなかったとしても相続財産の共有持分を保有しているという理屈なのです。そして、その共有状態は「遺産分割協議」をすることによって遡って「相続することになった相続人に帰属する」ことになります。

実際にそのことがどのような場面で影響してくるのかというと、たとえば相続人の一人が債務整理をするような場合です。

たとえば、個人再生や自己破産といった手続きでは、申立人(債務者)にどのくらいの財産があるのかということが手続きに影響してきます。

自己破産の場合、もし財産があればそれを売却する手続きが必要になるため破産管財人が選ばれるので、財産のあるなしによって手続きの流れが大きく変わってくることになります。

遺言書があればそれが優先する

もし、被相続人(亡くなった人)が、「自分の遺産はこのように分けてほしい」などの希望を法的に有効な遺言書で遺していれば、そちらが優先されることになります。つまり、法定相続人の遺産分割協議を待たずに遺産の分け方が決定することもあるわけです。

遺言書があるかどうかの確認の仕方ですが、もし故人が公正証書遺言を作成していた場合、全国どこの公証役場からでも相続人であることを証明すれば検索してもらうことができます。

ただ、遺言書を自宅で書いている「自筆証書遺言」の場合はどこに保管してあるのかがわからないことが多いでしょう。よって、故人の部屋や貸金庫、その他思いつく限りあらゆる場所を探さなければならないこともあります。

もし、自筆証書遺言があったらそれは必ず「検認」という手続きを経なければなりません。検認というのは家庭裁判所で行われる「証拠保全」のための手続きです。要するに、遺言書がその時点においてその状態で存在していたことを証明する手段ということになります。

よって、検認により不正な改ざんなどを防ぐことはできますが、遺言書の内容そのものが適切かどうかというのはまた別問題になりますので、その点を争いたい相続人は別途、協議を持ちかけるか調停や裁判をしなければならないこととなります。

また、もし封がされている遺言書を勝手に開封してしまうと5万円以下の過料に科せられるので、その点にも注意しなければなりません。

日本における遺言書作成割合はまだまだ低く、多くの場合は遺産分割協議を行わなくてはならないこととなります。

遺産分割協議のルール

遺産分割協議は、法定相続人全員で行わなければなりません。たとえ連絡が取れない相続人や認知症の相続人がいたとしてもその人を外すことはできないのです。

もし行方不明の人がいれば「不在者の財産管理人」、認知症の人がいれば「成年後見人」など、家庭裁判所によって適切な代理人を選んで行わなくてはなりません。

近年、高齢化の進行によって「相続人の一人が認知症」ということも珍しくありません。そのような場合は認知症の相続人について「成年後見人」という役職の人を選んで、代わりに遺産分割協議をしてもらわなければならなくなります。

ただし、成年後見人を選んだとしてもその人もまた相続人の一人であった場合はさらに遺産分割協議だけのための「特別代理人」を選ぶという二段階の手続きになります。

もし成年後見人もしくは特別代理人が本人に代わって遺産分割協議をするのであれば、少なくとも本人の「法定相続分(民法で定められた相続分)」は確保しなければならなくなるため、他の相続人が考えていた通りの遺産分割ができなくなる可能性もあります。

成年後見制度は本人の財産権を保護するために設けられている制度であるため、その理念に反するわけにはいかないからです。

遺産分割協議をする際は、実際にはなかなか全員が集まることができないことも多いでしょう。

全員が同じ場所に集合して話し合いを持つ必要はないのですが、少なくとも全員が内容に合意をし、署名、実印での押印、印鑑証明書の添付が必要となります。

この、遺産分割協議書は不動産の名義変更、預金解約など色々な手続きにおいて必要とされる書類ですが、金融機関の預金解約等においては、その銀行ごとの独自の書式に押印しなければならないこともあります。

合意ができないときは

もし、どうしても遺産分割の内容に全員が合意できない場合、家庭裁判所に調停の手続きを申立てることになります。調停では、裁判官と調停委員(裁判所が選んだ有識者など)が中立的に話を進めていくことになりますが、一定の内容の遺産分割を強制するわけではありません。

ただ、いったん調停で決めた内容を合意してしまえばこれには法的な効力があります。

遺言(いごん・ゆいごん)

遺言とは何か

遺言とは、ある人が自分が亡くなった際に備えて自分の財産等に関する遺志を実現してもらうべく、書面に希望を書き残すものです。
遺言というとどうしても「お金持ちにしか関係ないもの」「自分の家は財産が少ないから争いなど考えられず、遺言は必要ない」と考えがちです。
しかし、遺言の必要性は財産額とはまったく無関係です。むしろ、財産がなく、各相続人が不満を持ちやすい家や、財産構成が偏っている(たとえば大部分が不動産)家ほど遺言の必要性は高いことになります。

遺言の形式

遺言書を作成しようと思った場合、多くの場合は「公正証書遺言」もしくは「自筆証書遺言」で行われます。

「公正証書遺言」は、公証役場に証人2名とともに出向き、公証人の面前で作成する遺言書です。これは遺言者との面談により公証人に確認してもらうため、遺言者の遺志が反映されている可能性が極めて高くなること、原本を永久的に保存してもらえるため、改ざんの心配がないことなどがメリットです。
相続財産の金額やもらう人の数により数万円から場合によって10万円以上の公証人手数料がかかることが難点ですが、不動産の名義変更などの際はこの公正証書遺言が絶大な効果をもたらしますのでせっかく遺言書を作るのであればぜひ公正証書で行いたいものです。

一方の「自筆証書遺言」は、自宅で自分で準備した便箋等に自筆して行うため、比較的手軽でいつでもでき、費用もかからない方法といえます。
ただ、自筆証書遺言はそれが有効になるための法的要件が厳しいことの他にも重大な欠点があります。
もし遺言者の死亡後にこれが発見されなければ結局相続人は遺産分割協議をしなければならないことになり、被相続人(亡くなった人)の遺志は正確に反映されないことになります。
また、発見されたとしても家庭裁判所での「検認」と呼ばれる証拠保全の手続きが必要になりますので、素早く遺言書の内容を実行に移したい時などは時間と手間がかかって不便です。
さらには、金融機関等、民間の相続手続きにおいては「自筆証書遺言」では受け付けてくれないことがしばしばあります。たとえ民法における要件を満たしていたとしても社内の基準で決まった書類を提出しなければ解約や名義変更ができないということがあるのです。
そのような意味では自筆証書遺言はかなり中途半端で不完全な面が多いといえますので、費用はかかりますがやはり公正証書遺言がベストな選択といえるでしょう。