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遺産分割(いさんぶんかつ)

「遺産分割」というのは、相続財産が最終的にどの相続人に帰属するのかを決定するための手続きです。

遺産はとりあえず相続人の共有になる

「相続」は人の死亡によってその瞬間に発生するものであり、人為的に行うものではありません。つまり、相続人がそれを希望するか否かを問わず、いったんは法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員の共有状態になっています。

つまり、自分がその財産を保有しているという自覚がまったくなかったとしても相続財産の共有持分を保有しているという理屈なのです。そして、その共有状態は「遺産分割協議」をすることによって遡って「相続することになった相続人に帰属する」ことになります。

実際にそのことがどのような場面で影響してくるのかというと、たとえば相続人の一人が債務整理をするような場合です。

たとえば、個人再生や自己破産といった手続きでは、申立人(債務者)にどのくらいの財産があるのかということが手続きに影響してきます。

自己破産の場合、もし財産があればそれを売却する手続きが必要になるため破産管財人が選ばれるので、財産のあるなしによって手続きの流れが大きく変わってくることになります。

遺言書があればそれが優先する

もし、被相続人(亡くなった人)が、「自分の遺産はこのように分けてほしい」などの希望を法的に有効な遺言書で遺していれば、そちらが優先されることになります。つまり、法定相続人の遺産分割協議を待たずに遺産の分け方が決定することもあるわけです。

遺言書があるかどうかの確認の仕方ですが、もし故人が公正証書遺言を作成していた場合、全国どこの公証役場からでも相続人であることを証明すれば検索してもらうことができます。

ただ、遺言書を自宅で書いている「自筆証書遺言」の場合はどこに保管してあるのかがわからないことが多いでしょう。よって、故人の部屋や貸金庫、その他思いつく限りあらゆる場所を探さなければならないこともあります。

もし、自筆証書遺言があったらそれは必ず「検認」という手続きを経なければなりません。検認というのは家庭裁判所で行われる「証拠保全」のための手続きです。要するに、遺言書がその時点においてその状態で存在していたことを証明する手段ということになります。

よって、検認により不正な改ざんなどを防ぐことはできますが、遺言書の内容そのものが適切かどうかというのはまた別問題になりますので、その点を争いたい相続人は別途、協議を持ちかけるか調停や裁判をしなければならないこととなります。

また、もし封がされている遺言書を勝手に開封してしまうと5万円以下の過料に科せられるので、その点にも注意しなければなりません。

日本における遺言書作成割合はまだまだ低く、多くの場合は遺産分割協議を行わなくてはならないこととなります。

遺産分割協議のルール

遺産分割協議は、法定相続人全員で行わなければなりません。たとえ連絡が取れない相続人や認知症の相続人がいたとしてもその人を外すことはできないのです。

もし行方不明の人がいれば「不在者の財産管理人」、認知症の人がいれば「成年後見人」など、家庭裁判所によって適切な代理人を選んで行わなくてはなりません。

近年、高齢化の進行によって「相続人の一人が認知症」ということも珍しくありません。そのような場合は認知症の相続人について「成年後見人」という役職の人を選んで、代わりに遺産分割協議をしてもらわなければならなくなります。

ただし、成年後見人を選んだとしてもその人もまた相続人の一人であった場合はさらに遺産分割協議だけのための「特別代理人」を選ぶという二段階の手続きになります。

もし成年後見人もしくは特別代理人が本人に代わって遺産分割協議をするのであれば、少なくとも本人の「法定相続分(民法で定められた相続分)」は確保しなければならなくなるため、他の相続人が考えていた通りの遺産分割ができなくなる可能性もあります。

成年後見制度は本人の財産権を保護するために設けられている制度であるため、その理念に反するわけにはいかないからです。

遺産分割協議をする際は、実際にはなかなか全員が集まることができないことも多いでしょう。

全員が同じ場所に集合して話し合いを持つ必要はないのですが、少なくとも全員が内容に合意をし、署名、実印での押印、印鑑証明書の添付が必要となります。

この、遺産分割協議書は不動産の名義変更、預金解約など色々な手続きにおいて必要とされる書類ですが、金融機関の預金解約等においては、その銀行ごとの独自の書式に押印しなければならないこともあります。

合意ができないときは

もし、どうしても遺産分割の内容に全員が合意できない場合、家庭裁判所に調停の手続きを申立てることになります。調停では、裁判官と調停委員(裁判所が選んだ有識者など)が中立的に話を進めていくことになりますが、一定の内容の遺産分割を強制するわけではありません。

ただ、いったん調停で決めた内容を合意してしまえばこれには法的な効力があります。

遺産分割協議

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ) 相続する財産をどのようにわけるかを相続人全員で話し合うこと

法定相続分(ほうていそうぞくぶん)

法定相続分(ほうていそうぞくぶん)とは、法律によって定められた相続人の相続分のことをいいいます。
被相続人が遺言によって相続分について何ら意思表示をしなかったときには、相続人間で遺産分割の協議を行わない限り、法定相続分にしたがって相続がなされることになります。

なお、法定相続分はあくまでも目安であり、法定相続人間で合意がある場合には、これとは異なる分割をすることも可能です。また、被相続人が遺産分割の方法を指定した遺言等を残している場合には、その内容が優先されます。

法定相続人の範囲と相続順位

原則として①配偶者は存命であれば常に相続人となり、②それ以外の相続人については優先順位が決まっていて、第1順位が子、第2順位が親(親が亡くなっている場合は祖父母、曾祖父母と生きている限り遡る)、 第3順位が兄弟姉妹。第1順位がいれば、第2順位は相続せず、第1順位がいない場合に第2順位が、それもいなければ第3順位の者が相続人となります。

法定相続人を確定する方法

法定相続人を確定するためには,被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)の取得が必要となります。戸籍は、本籍地の市区町村役場で取得しますが、本籍地の役所が遠方にある場合には、郵送による請求も可能です。

法定相続分

相続分とは、相続人の受ける相続財産の割合のことです。遺言による相続分を「指定相続分」というのに対し、遺言がない場合に適用されるのが法律による割合である「法定相続分」です。 法定相続の割合は以下のようになります。

配偶者と子どもがいる場合

配偶者と子とで財産を分ける場合は配偶者が1/2、子が1/2。子が複数いるときは、子の相続分(1/2)を等分します。

(例)子が2人の場合
1/4ずつとなります。
なお、配偶者が既に亡くなっている場合には、子のみが相続人となります。

子はいないが、親がいる場合

配偶者と親とで財産を分ける場合は配偶者が2/3、親が1/3。父母が健在の場合は1/3を等分します(父親=1/6、母親=1/6)。
なお、父母が二人とも亡くなっている場合は、祖父母(父方の祖父母・母方の祖父母)が相続人となります。

子は死亡しているが、孫がいる場合

子が既に亡くなっているが、その子に子(被相続人からすれば孫)がいる場合は、その孫が子に代わって相続人となります。なお、その孫が亡くなっている場合は、曾孫が相続人となり孫の相続分を曾孫が引き継ぐことになります。これを代襲相続といいます。

子・親ともいない場合

兄弟姉妹がいる場合は配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4。兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は、その子が代襲相続人となります。

相続登記(そうぞくとうき)

相続登記とは?

「相続登記」とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の中に不動産が含まれていた場合に、相続人に名義の変更をする手続きのことです。

相続登記には特に期限はなく、しなかったからといって相続税申告のようにペナルティを受けるわけではありません。

しかし、相続登記をせずに放置しておくと、売却の際にそのままでは売れない、相続人の一人が認知症になり遺産分割協議ができないなど、さまざまな弊害が生じることがあります。

相続登記はどのように行う?

相続登記は、必要な申請書と添付書類を揃えて、その物件を管轄する法務局に登記申請を行う必要があります。

登記申請に必要なのは、次の添付書類です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・原戸籍)
  • 相続人全員の現在の戸籍
  • その不動産を取得する相続人の住民票
  • 被相続人の最後の住所を示すための住民票の除票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図(相続関係を図で示したもの)

これらの中でも、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えるのが一番大変な作業です。本籍地をまったく動かしていない人であっても、民法改正による戸籍の改製や、平成のコンピュータ改製、婚姻などにより戸籍は作り替えられるため、一人の被相続人につき大体5種類前後出てくることが普通です(人によっては10種類出る場合もあります)。

ただ、遺言書で不動産の取得者がはっきり指定されているのであれば遺言者と不動産をもらう人の関係性だけがわかる戸籍で足ります。

もし本籍が移っている人の場合、必ず本籍地の役場でないと取得できないため遠方の場合は郵送で請求することになりますが、市役所のウェブサイトから申請様式をダウンロードしたり、郵便局で定額小為替を準備したりとなかなか骨が折れる作業になります。

そこで、仕事が忙しい人やこういった事務作業が苦手な人は依頼先の行政書士や司法書士に任せてしまうこともできます。

事案により自分でできるものと困難なものがある

申請書のフォーマット自体は法務局で例をもらうことはできるので、中には相続人自身ができる事案もあります。

ただ、実際にはフォーマット通りの単純な事案ばかりではなく、「被相続人がその不動産全部ではなく持分のみ所有していた」「本地に付随する道路部分があった」「本来、消えているべき抵当権が消えていなかった」など、イレギュラーな事案もあります。

不動産の物件数が少ない(本地と建物のみで共有ではない)、相続人の数が少なく遺産分割協議が問題なくできているなどの事案を除いては、できれば最初から専門家に相談する方が確実です。

相続税(そうぞくぜい)

なぜ相続税がかかるのか

相続税の趣旨は「富の再分配」ということです。 先代が築いてきた財産を何の負担もなく次世代がそのまま引き継ぐことになると、貧富の差が固定してしまう原因になることから、その富を社会に還元するという意味を持っているのです。

相続税はどんな時にかかるのか

相続税は皆にかかると思っている人もいるのですが、ある一定以上の相続財産を超えていなくては相続税は課税されません。これを「基礎控除」といいます。 平成27年から施行された改正により基礎控除は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となり、従来の6割にまで引き下げられました。 これによって相続税がかかる人は都市部では従来の倍近くにまで増加したと言われています。 以前は富裕層にしか関係ないと思われていた相続税ですが、現在では大都市にマイホームを保有していただけでも相続税の心配をしなければならない時代になっています。

相続税申告はタイトなスケジュールになっている

相続税申告が必要な場合、「相続開始の翌日から10カ月以内」となっているため、実際にはかなり厳しいスケジュールになります。 この間に相続人を戸籍により特定し、相続財産と負債を確認して申告書を作成し、申告、納税までを済ませなければならないのです。そして、遺産分割協議が終わっていなかった場合はとりあえず法定相続分(民法で決められた相続分)で相続したものとみなして申告しますが、この場合は納税者にとって有利になる特例が使えないこともあります。 たとえば、配偶者について大幅に相続税が有利になる「配偶者の税額軽減」という制度があります。 配偶者は、被相続人(亡くなった人)の財産が形成される過程で多大な貢献をしていると考えられ、また被相続人の死亡後に生活保障がされなければならないという観点から税額が優遇されています。 具体的には、配偶者が取得した遺産額のうち・配偶者の法定相続分(民法で定められた相続分)もしくは・1億6000万円、これらのうちいずれか多い金額までは相続税がかからないことになっています。 もう一つ、相続税が大幅に優遇される措置として「小規模宅地等の評価減の特例」があります。 これは、被相続人の自宅や事業を営んでいた宅地については、相続税の負担によってこれを手放すようなことになれば本末転倒になるため、相続税の評価額を最大80%という大幅値引きして税額を優遇するというものです。 これらについては遺産分割協議が終わって財産の帰属が決まらなければ適用することができませんから、申告期限までに遺産分割協議が整っていなければかなり多めの相続税を納めておかなくてはならないことになってしまいます。 (遺産分割協議が終わっていなくても申告期限を伸長することはできません)

相続税の計算はどのように行うのか

相続税の計算は「受け取った財産に税率をかける」という単純なものではなく、もう少し手順が複雑です。 1.相続財産を調査し、合計する。 ポイントとしては、・みなし相続財産(死亡保険金など)を加算する、・借金がある場合は差し引く・非課税財産(仏壇など)を差し引く・相続開始前3年以内に行われた生前贈与を加算する、といった点です。 2.相続税の対象となる金額を算出する。 1の金額から、基礎控除「3000万円+(法定相続人の数×600万円)」を引いて、課税遺産総額を算出する。 3.法定相続分で分ける。 それぞれの相続人の法定相続分で課税遺産総額を分けます。 4.相続税の総額を算出する。 相続人ごとに法定相続分による取得金額に税率(相続人の取得金額により10%から55%と段階的に設定されています)をかけ、相続税額を算出します。 この相続税額の合計が今回の相続に関するすべての相続税額となります。 5.各相続人の相続税額を算出する。 相続税の総額を、実際の相続割合から各相続人で分けます。 最後の段階で、各人特有の事情を考慮して「2割加算」や「税額控除」などの金額調整を行います。

節税だけではなく紛争対策、納税資金準備も必要

相続税の難しいところは、ただ単に節税すればよいというわけではなく、そこに相続人同士の紛争を防いだり、申告期限までに確実に現金で納税資金を準備しなければならないという事情が加わることです。 たとえば、上記の基礎控除は法定相続人の数を基準としているため、養子縁組をした場合は基礎控除の額が増えます。しかし、節税のためだからと行った養子縁組が他の相続人にとって感情的に受け入れられないものである場合もあります。 また、被相続人(亡くなった人)が納税資金のことをまるで考えずに亡くなってしまったため、相続人は泣く泣く土地を売却して納税しなくてはならないこともあります。 こういった事態になることを防ぐためにも、相続税がかかることが予測される家庭はまだ被相続人が元気であるうちに税理士に相談の上でさまざまな対策を立てておくことが必須といえるのです。

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相続税かんたんシミュレーション

贈与税簡単シミュレーション

成年後見人(せいねんこうけんにん)

成年後見人(せいねんこうけんにん)とは、成年後見人とは、認知症などで判断能力が鈍った人の代わりに法律行為を代理し、被後見人(認知症などの本人)の財産を悪徳商法や本人に不利な契約などの被害から守るための役割をする人です。 成年後見人には「法定後見」と「任意後見」の二種類があります。

「法定後見」とは一定の範囲の申立権者が家庭裁判所に申し立てを行い、最終的には裁判所が適切な後見人を判断して選任するものです。
これに対し、「任意後見」とは、本人にまだ判断能力があるうちに行う契約であり、裁判所が直接に選任するわけではありません。
実際に成年後見人を選任するきっかけとなるのは、何らかの法律行為をしたい場合に関係者の中に判断能力のない人がいたため、その行為ができなくなっているといった状況が想定されます。中でも代表的なのが遺産分割協議でしょう。

成年後見人はどうやって選任するか?

では、法定後見人が選任されるまでにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか。

まず、申立権者としては「本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長、他」となっています。たとえば身寄りのない独居老人で、申立てをしてくれるような人も周囲にいない場合は市区町村長が申立てることがあります。
裁判所には事案による「管轄」があり、成年後見申立てについては本人の住所地の家庭裁判所に申立書と添付書類(戸籍や住民票など)を提出することになります。
申立ての時点で「後見人候補者」といって、この人が適任であると考える人を家庭裁判所に挙げるのですが、もし裁判所が総合的に状況を見てその候補者が不適切であると考えた場合には「専門家後見人」として弁護士や司法書士が選ばれることもあります。
専門家が後見人に就任すると報酬が発生しますが、報酬は一律に決まっているわけではなく、一定の期間ごとに出される「業務報告」に基づいた適切な報酬を、本人の資力に応じて裁判所が決定することとなります。

成年後見人がつくと財産が裁判所の管理下に置かれる

成年後見人は、財産目録を作成したり、家庭裁判所に報告を行うなどの事務的な業務を行います。被後見人の財産を適切に管理することが仕事ですので、長期間にわたり責任を持った仕事ができる人でなくてはなりません。

いったん成年後見人がついてしまえば被後見人の財産は基本的に「被後見人の利益になる」目的でしか使うことができません。今まで同居して親の財産をある程度自由にしてきた人でも家庭裁判所の管理下に置かれることになるため、そもそもの制度趣旨を理解した上で申立てを行うことが大切です。

成年後見人が気をつけるべきこと

成年後見人は特に財産管理の面で親族とのトラブルになりやすいことが多く、使い込みなどの誤解を受けないよう、細心の注意を払って財産を管理しなくてはなりません。
後見人になるのが親族であろうと法律家などの第三者であろうと、「成年後見人は被後見人の財産を適切に維持管理するために存在する」という原則を忘れてはなりません。
常に「他人の財産である」という意識を持ち続けていなければならないのです。
基本的には収入や支出が生じるごとに金銭出納帳につけていくことですが、表計算ソフトなどを有効に活用し、効率的に処理できるようにしておくことが望ましいといえます。

では、多くの場合に生じる「預金」や「不動産」の管理について注意点を確認しておきましょう。

預金口座の管理

もし被後見人の口座が数口ある場合、なるべく管理しやすいように口座をまとめる方がよいでしょう。多くの金融機関では「〇〇成年後見人〇〇」のように、後見人名義にすることができます。その場合、金融機関に対し「後見開始の審判書」や「後見人自身の身分証明書や印鑑証明書」を提出しなくてはなりません。

実際の預金の引き出しの際は銀行の本支店で行わなくてはならないことがほとんどであり、キャッシュカードも後見人名義では発行してくれないことが多いと考えられます。

不動産の管理

不動産とひとことで言っても、「自宅不動産」なのか「他人に賃貸している物件」なのかで管理の注意点はまったく異なります。

自宅については次のとおりです。

土地については特に隣地との関係で適切に管理されているか(たとえば隣からの樹木の張り出しがないかどうかなど)、建物については雨漏りや破損がないかどうかなどをチェックします。
もし補修などの必要があれば被後見人の財産から適切な範囲での支出を行い、業者に発注することができます。
ただやはり大がかりな出費を伴う場合、あらかじめ家庭裁判所に相談することが必要です。

事業用不動産については次のとおりです。

賃借人との契約関係がどうなっているかを確認しておくことは必須です。
更新時期が近づいていないかどうか、また、更新の際に適切な賃料に改定するべきではないかといったことも検討事項になります。

そして、これは自宅でも同じことがいえますが、公租公課(固定資産税など)の支払いが適切にされているか(滞納していないか)をチェックしておくことも非常に重要です。

財産目録(ざいさんもくろく)

遺産分割協議や相続税申告の準備などのために、被相続人の財産をすべて調査して一覧にした書類。

固定資産税評価証明書(こていしさんぜいひょうかしょうめいしょ)

不動産の所在する市区町村が算出する、当該不動産の評価額を示した書面。ここに記載される評価額は相続税の計算や、遺産分割協議に使用される。

遺言(いごん・ゆいごん)

遺言とは何か

遺言とは、ある人が自分が亡くなった際に備えて自分の財産等に関する遺志を実現してもらうべく、書面に希望を書き残すものです。
遺言というとどうしても「お金持ちにしか関係ないもの」「自分の家は財産が少ないから争いなど考えられず、遺言は必要ない」と考えがちです。
しかし、遺言の必要性は財産額とはまったく無関係です。むしろ、財産がなく、各相続人が不満を持ちやすい家や、財産構成が偏っている(たとえば大部分が不動産)家ほど遺言の必要性は高いことになります。

遺言の形式

遺言書を作成しようと思った場合、多くの場合は「公正証書遺言」もしくは「自筆証書遺言」で行われます。

「公正証書遺言」は、公証役場に証人2名とともに出向き、公証人の面前で作成する遺言書です。これは遺言者との面談により公証人に確認してもらうため、遺言者の遺志が反映されている可能性が極めて高くなること、原本を永久的に保存してもらえるため、改ざんの心配がないことなどがメリットです。
相続財産の金額やもらう人の数により数万円から場合によって10万円以上の公証人手数料がかかることが難点ですが、不動産の名義変更などの際はこの公正証書遺言が絶大な効果をもたらしますのでせっかく遺言書を作るのであればぜひ公正証書で行いたいものです。

一方の「自筆証書遺言」は、自宅で自分で準備した便箋等に自筆して行うため、比較的手軽でいつでもでき、費用もかからない方法といえます。
ただ、自筆証書遺言はそれが有効になるための法的要件が厳しいことの他にも重大な欠点があります。
もし遺言者の死亡後にこれが発見されなければ結局相続人は遺産分割協議をしなければならないことになり、被相続人(亡くなった人)の遺志は正確に反映されないことになります。
また、発見されたとしても家庭裁判所での「検認」と呼ばれる証拠保全の手続きが必要になりますので、素早く遺言書の内容を実行に移したい時などは時間と手間がかかって不便です。
さらには、金融機関等、民間の相続手続きにおいては「自筆証書遺言」では受け付けてくれないことがしばしばあります。たとえ民法における要件を満たしていたとしても社内の基準で決まった書類を提出しなければ解約や名義変更ができないということがあるのです。
そのような意味では自筆証書遺言はかなり中途半端で不完全な面が多いといえますので、費用はかかりますがやはり公正証書遺言がベストな選択といえるでしょう。

相続放棄(そうぞくほうき)

相続放棄とは?

相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)の法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)である人がさまざまな理由で相続人としての権利も義務もまとめて放棄し、最初から相続人でなかったものとする手続きです。

よく「私はもう遺産を要らないと言ったから、相続放棄した」という表現をする人がいるのですが、それは相続放棄ではなく、遺産分割協議の一環として自分がどの財産を相続するか、しないかを表明したことに過ぎないので、両者を区別しなくてはなりません。

相続放棄では遺産分割協議のように「特定の財産を要る、要らない」という意思表示をすることとは違い、一切の権利義務がなくなりますので対象の財産を選ぶことはできない点に注意が必要です。

また、負債については遺産分割協議によって相続人の誰が引き継ぐかを決めることはできません。負債がどのようになるかは債権者の利益に関わることですから基本的には各相続人が負債を引き継いでおり、財産をもらった人以外にも弁済の義務は残ります。

よって、どうしても負債を引き継ぎたくないのであれば相続放棄するしかないのです。

一般的に相続放棄をする理由としては、財産よりも負債の方が多いというのが一番ですが、その他にも「両親が離婚して親権を持たなかった方の親とまったく交流がなかったので、その親が亡くなったがもう関わりたくない」などのケースがあります。

相続放棄をするには?

相続放棄をする場合は、相続の開始および自分が相続人となったことを知ったときから3カ月以内に被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述を行うことが必要で、相続人が放棄する意思表示をするのみでは足りません。

その相続人の立場によって添付する戸籍などが異なりますので、事前に家庭裁判所に確認してから書類を揃えるようにしたいものです。ただ、3カ月というのは本当にあっという間ですので、「正しい書類をそろえるまで時間がかかってしまい、負債を引き継ぐことになってしまった」という最悪の事態を避けるためにも、はじめから弁護士や司法書士などの専門家に依頼する方が確実でしょう。

どうしても財産や負債の調査で3カ月以内に申述ができないとみられる場合や、死亡を知っていたが負債の存在を知らなかったような場合には若干、イレギュラーな手続きとなりますので専門家への相談が必須です。

相続放棄ができなくなるのは?

もし、上記の3カ月を何もせずに過ぎてしまったり、被相続人の財産をすでに使ってしまっていたり、隠したりといった事由があると相続を承認したものとみなされて相続放棄ができなくなってしまいます(法定単純承認)。

ただ、いわゆる「財産の保存行為」にあたるものであれば相続の承認とはみなされません。

相続放棄をするとどうなるか?

たとえば、順位が同じ相続人が複数いると(子供が2人など)、相続放棄をした相続人の分だけ他の相続人の相続分が増えることになります。しかし、同順位の相続人全員が相続放棄してしまった場合はその次の順位の相続人に相続の順番が回ってくることになります。

具体的な事例で考えてみましょう。法定相続人として配偶者と子供2人がいたとします。

この場合、子供のうち1人が相続放棄をしたに過ぎないのであれば、残りの子供1人と配偶者が相続人となり、結果としてその子供の相続分が増えることになります。しかし、子供2人が両方とも相続放棄してしまったら配偶者と被相続人の直系尊属(親や祖父母)が次に相続人となり、それらも相続放棄もしくはもともとすでに死亡していた場合は配偶者と被相続人の兄弟姉妹に相続権が移行することになります。

家庭裁判所はそのような状態になっても次順位の相続人に連絡してくれるようなことはありませんので、いきなりその人のところに債権者から請求が来るような事態も考えられます。よって、できれば相続放棄した人から次順位者に連絡をしておく方が望ましいといえます。

遺産の範囲内で負債を返済する方法がある?

相続放棄をするべきかどうか迷う事例というのも実際にはあるのではないでしょうか。

事業を行っている資産家の家などにありがちですがプラス財産も多いがそれなりに負債もあり、それらのどちらが多いのかがわからないという状況です。

そのような場合は、プラス財産の範囲内で負債の弁済義務を負う「限定承認」という方法があります。

相続人にとっては大変都合の良い手続きにも思えるのですが、実際に限定承認をしようと思うとかなり厄介なこともあります。

相続放棄は各相続人が自分だけですることもできますが、限定承認は法定相続人全員が共同で行わなくてはなりません。そして、相続放棄と同様に相続開始を知った時から3カ月以内という期間の制限もありますからあまりゆっくり考えている時間はないことになります。

また、手続き自体が非常に複雑で手間、時間がかかるため素人が自分ですることはほぼ不可能で弁護士に頼むしか手段がありませんが、その場合は数百万という高額な報酬が発生することもあります。

よって、現実的に限定承認を行うことができるのは、元々かなりの資産を有する家庭であることが前提となるでしょう。