相続(3 / 7page)

直系卑属(ちょっけいひぞく)

直系卑属(ちょっけいひぞく)とは直系の血族のうち、その人より下の世代の人。たとえば子や孫など。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)

直系の血族のうち、その人より上の世代の人。たとえば親や祖父母など。

嫡出子(ちゃくしゅつし)

嫡出子(ちゃくしゅつし)とは婚姻している夫婦の間に出生した子供。

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

代襲相続とは相続人となるべき者(例えば子)が相続開始時にすでに死亡していたときに、その者の直系卑属(例えば孫)が相続人となることをいう。
死亡だけに限らず相続欠格や廃除によって相続権を失っている場合にも、代襲相続が発生する。

相続登記(そうぞくとうき)

相続登記とは?

「相続登記」とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の中に不動産が含まれていた場合に、相続人に名義の変更をする手続きのことです。

相続登記には特に期限はなく、しなかったからといって相続税申告のようにペナルティを受けるわけではありません。

しかし、相続登記をせずに放置しておくと、売却の際にそのままでは売れない、相続人の一人が認知症になり遺産分割協議ができないなど、さまざまな弊害が生じることがあります。

相続登記はどのように行う?

相続登記は、必要な申請書と添付書類を揃えて、その物件を管轄する法務局に登記申請を行う必要があります。

登記申請に必要なのは、次の添付書類です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍・原戸籍)
  • 相続人全員の現在の戸籍
  • その不動産を取得する相続人の住民票
  • 被相続人の最後の住所を示すための住民票の除票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 相続関係説明図(相続関係を図で示したもの)

これらの中でも、被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えるのが一番大変な作業です。本籍地をまったく動かしていない人であっても、民法改正による戸籍の改製や、平成のコンピュータ改製、婚姻などにより戸籍は作り替えられるため、一人の被相続人につき大体5種類前後出てくることが普通です(人によっては10種類出る場合もあります)。

ただ、遺言書で不動産の取得者がはっきり指定されているのであれば遺言者と不動産をもらう人の関係性だけがわかる戸籍で足ります。

もし本籍が移っている人の場合、必ず本籍地の役場でないと取得できないため遠方の場合は郵送で請求することになりますが、市役所のウェブサイトから申請様式をダウンロードしたり、郵便局で定額小為替を準備したりとなかなか骨が折れる作業になります。

そこで、仕事が忙しい人やこういった事務作業が苦手な人は依頼先の行政書士や司法書士に任せてしまうこともできます。

事案により自分でできるものと困難なものがある

申請書のフォーマット自体は法務局で例をもらうことはできるので、中には相続人自身ができる事案もあります。

ただ、実際にはフォーマット通りの単純な事案ばかりではなく、「被相続人がその不動産全部ではなく持分のみ所有していた」「本地に付随する道路部分があった」「本来、消えているべき抵当権が消えていなかった」など、イレギュラーな事案もあります。

不動産の物件数が少ない(本地と建物のみで共有ではない)、相続人の数が少なく遺産分割協議が問題なくできているなどの事案を除いては、できれば最初から専門家に相談する方が確実です。

相続税(そうぞくぜい)

なぜ相続税がかかるのか

相続税の趣旨は「富の再分配」ということです。 先代が築いてきた財産を何の負担もなく次世代がそのまま引き継ぐことになると、貧富の差が固定してしまう原因になることから、その富を社会に還元するという意味を持っているのです。

相続税はどんな時にかかるのか

相続税は皆にかかると思っている人もいるのですが、ある一定以上の相続財産を超えていなくては相続税は課税されません。これを「基礎控除」といいます。 平成27年から施行された改正により基礎控除は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」となり、従来の6割にまで引き下げられました。 これによって相続税がかかる人は都市部では従来の倍近くにまで増加したと言われています。 以前は富裕層にしか関係ないと思われていた相続税ですが、現在では大都市にマイホームを保有していただけでも相続税の心配をしなければならない時代になっています。

相続税申告はタイトなスケジュールになっている

相続税申告が必要な場合、「相続開始の翌日から10カ月以内」となっているため、実際にはかなり厳しいスケジュールになります。 この間に相続人を戸籍により特定し、相続財産と負債を確認して申告書を作成し、申告、納税までを済ませなければならないのです。そして、遺産分割協議が終わっていなかった場合はとりあえず法定相続分(民法で決められた相続分)で相続したものとみなして申告しますが、この場合は納税者にとって有利になる特例が使えないこともあります。 たとえば、配偶者について大幅に相続税が有利になる「配偶者の税額軽減」という制度があります。 配偶者は、被相続人(亡くなった人)の財産が形成される過程で多大な貢献をしていると考えられ、また被相続人の死亡後に生活保障がされなければならないという観点から税額が優遇されています。 具体的には、配偶者が取得した遺産額のうち・配偶者の法定相続分(民法で定められた相続分)もしくは・1億6000万円、これらのうちいずれか多い金額までは相続税がかからないことになっています。 もう一つ、相続税が大幅に優遇される措置として「小規模宅地等の評価減の特例」があります。 これは、被相続人の自宅や事業を営んでいた宅地については、相続税の負担によってこれを手放すようなことになれば本末転倒になるため、相続税の評価額を最大80%という大幅値引きして税額を優遇するというものです。 これらについては遺産分割協議が終わって財産の帰属が決まらなければ適用することができませんから、申告期限までに遺産分割協議が整っていなければかなり多めの相続税を納めておかなくてはならないことになってしまいます。 (遺産分割協議が終わっていなくても申告期限を伸長することはできません)

相続税の計算はどのように行うのか

相続税の計算は「受け取った財産に税率をかける」という単純なものではなく、もう少し手順が複雑です。 1.相続財産を調査し、合計する。 ポイントとしては、・みなし相続財産(死亡保険金など)を加算する、・借金がある場合は差し引く・非課税財産(仏壇など)を差し引く・相続開始前3年以内に行われた生前贈与を加算する、といった点です。 2.相続税の対象となる金額を算出する。 1の金額から、基礎控除「3000万円+(法定相続人の数×600万円)」を引いて、課税遺産総額を算出する。 3.法定相続分で分ける。 それぞれの相続人の法定相続分で課税遺産総額を分けます。 4.相続税の総額を算出する。 相続人ごとに法定相続分による取得金額に税率(相続人の取得金額により10%から55%と段階的に設定されています)をかけ、相続税額を算出します。 この相続税額の合計が今回の相続に関するすべての相続税額となります。 5.各相続人の相続税額を算出する。 相続税の総額を、実際の相続割合から各相続人で分けます。 最後の段階で、各人特有の事情を考慮して「2割加算」や「税額控除」などの金額調整を行います。

節税だけではなく紛争対策、納税資金準備も必要

相続税の難しいところは、ただ単に節税すればよいというわけではなく、そこに相続人同士の紛争を防いだり、申告期限までに確実に現金で納税資金を準備しなければならないという事情が加わることです。 たとえば、上記の基礎控除は法定相続人の数を基準としているため、養子縁組をした場合は基礎控除の額が増えます。しかし、節税のためだからと行った養子縁組が他の相続人にとって感情的に受け入れられないものである場合もあります。 また、被相続人(亡くなった人)が納税資金のことをまるで考えずに亡くなってしまったため、相続人は泣く泣く土地を売却して納税しなくてはならないこともあります。 こういった事態になることを防ぐためにも、相続税がかかることが予測される家庭はまだ被相続人が元気であるうちに税理士に相談の上でさまざまな対策を立てておくことが必須といえるのです。

相続税簡単シミュレーション

千葉相続遺言相談窓口ではどのくらいの相続税がかかるのか、簡単にシミュレーションができます。下記のリンクより是非ご利用ください。

相続税かんたんシミュレーション

贈与税簡単シミュレーション

相続欠格(そうぞくけっかく)

相続欠格(そうぞくけっかく)とは、被相続人や同順位の相続人を殺害したなど、一定の事由がある場合、その相続人が当然に相続権を失うこと。

相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)

相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)とは、親や祖父母から子供や孫などへの贈与において、一定の条件のもとに2500万円までを無税で、それを超える部分を一律20%の贈与税で贈与できる制度。贈与した財産の価額は、相続発生時に相続財産に持ち戻す。

相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)

相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)とは、配偶者、第1~第3順位までいずれの相続人も存在しない場合に、被相続人の財産を適切に管理処分する権限を持つ人のこと。相続人の捜索や、国・特別縁故者に財産を分与する、債権者に債務を弁済するなどの業務を行う。

成年後見人(せいねんこうけんにん)

成年後見人(せいねんこうけんにん)とは、成年後見人とは、認知症などで判断能力が鈍った人の代わりに法律行為を代理し、被後見人(認知症などの本人)の財産を悪徳商法や本人に不利な契約などの被害から守るための役割をする人です。 成年後見人には「法定後見」と「任意後見」の二種類があります。

「法定後見」とは一定の範囲の申立権者が家庭裁判所に申し立てを行い、最終的には裁判所が適切な後見人を判断して選任するものです。
これに対し、「任意後見」とは、本人にまだ判断能力があるうちに行う契約であり、裁判所が直接に選任するわけではありません。
実際に成年後見人を選任するきっかけとなるのは、何らかの法律行為をしたい場合に関係者の中に判断能力のない人がいたため、その行為ができなくなっているといった状況が想定されます。中でも代表的なのが遺産分割協議でしょう。

成年後見人はどうやって選任するか?

では、法定後見人が選任されるまでにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか。

まず、申立権者としては「本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長、他」となっています。たとえば身寄りのない独居老人で、申立てをしてくれるような人も周囲にいない場合は市区町村長が申立てることがあります。
裁判所には事案による「管轄」があり、成年後見申立てについては本人の住所地の家庭裁判所に申立書と添付書類(戸籍や住民票など)を提出することになります。
申立ての時点で「後見人候補者」といって、この人が適任であると考える人を家庭裁判所に挙げるのですが、もし裁判所が総合的に状況を見てその候補者が不適切であると考えた場合には「専門家後見人」として弁護士や司法書士が選ばれることもあります。
専門家が後見人に就任すると報酬が発生しますが、報酬は一律に決まっているわけではなく、一定の期間ごとに出される「業務報告」に基づいた適切な報酬を、本人の資力に応じて裁判所が決定することとなります。

成年後見人がつくと財産が裁判所の管理下に置かれる

成年後見人は、財産目録を作成したり、家庭裁判所に報告を行うなどの事務的な業務を行います。被後見人の財産を適切に管理することが仕事ですので、長期間にわたり責任を持った仕事ができる人でなくてはなりません。

いったん成年後見人がついてしまえば被後見人の財産は基本的に「被後見人の利益になる」目的でしか使うことができません。今まで同居して親の財産をある程度自由にしてきた人でも家庭裁判所の管理下に置かれることになるため、そもそもの制度趣旨を理解した上で申立てを行うことが大切です。

成年後見人が気をつけるべきこと

成年後見人は特に財産管理の面で親族とのトラブルになりやすいことが多く、使い込みなどの誤解を受けないよう、細心の注意を払って財産を管理しなくてはなりません。
後見人になるのが親族であろうと法律家などの第三者であろうと、「成年後見人は被後見人の財産を適切に維持管理するために存在する」という原則を忘れてはなりません。
常に「他人の財産である」という意識を持ち続けていなければならないのです。
基本的には収入や支出が生じるごとに金銭出納帳につけていくことですが、表計算ソフトなどを有効に活用し、効率的に処理できるようにしておくことが望ましいといえます。

では、多くの場合に生じる「預金」や「不動産」の管理について注意点を確認しておきましょう。

預金口座の管理

もし被後見人の口座が数口ある場合、なるべく管理しやすいように口座をまとめる方がよいでしょう。多くの金融機関では「〇〇成年後見人〇〇」のように、後見人名義にすることができます。その場合、金融機関に対し「後見開始の審判書」や「後見人自身の身分証明書や印鑑証明書」を提出しなくてはなりません。

実際の預金の引き出しの際は銀行の本支店で行わなくてはならないことがほとんどであり、キャッシュカードも後見人名義では発行してくれないことが多いと考えられます。

不動産の管理

不動産とひとことで言っても、「自宅不動産」なのか「他人に賃貸している物件」なのかで管理の注意点はまったく異なります。

自宅については次のとおりです。

土地については特に隣地との関係で適切に管理されているか(たとえば隣からの樹木の張り出しがないかどうかなど)、建物については雨漏りや破損がないかどうかなどをチェックします。
もし補修などの必要があれば被後見人の財産から適切な範囲での支出を行い、業者に発注することができます。
ただやはり大がかりな出費を伴う場合、あらかじめ家庭裁判所に相談することが必要です。

事業用不動産については次のとおりです。

賃借人との契約関係がどうなっているかを確認しておくことは必須です。
更新時期が近づいていないかどうか、また、更新の際に適切な賃料に改定するべきではないかといったことも検討事項になります。

そして、これは自宅でも同じことがいえますが、公租公課(固定資産税など)の支払いが適切にされているか(滞納していないか)をチェックしておくことも非常に重要です。